序文:珈琲について思うがままに語ってみる。



さてこのコーナー、私strが独断と偏見にてつづるエッセイを、と始めたものの、
いざ書けといわれても正直頭の引き出しはきわめて浅い2X歳。

酒を語るほどの渋さもなし、青春を語るほどの若さもなし。
あっと驚くトリビアも歴史や国際情勢に詳しいわけでもなし。

今になって思う、正直、表現者の端くれを語るのはどうだろう。



さて、今まで衝撃を与えられてきた本は多々あったけれども、勤め先の本屋でこの表題を見たときは
正直愕然といたしました。

『喫茶店で2時間持たない男とはつきあうな!』

脳力についてご高名な斎藤孝先生と、駄目な男性と付き合うことでご高名な倉田真由美先生。
そのあまりにもなダブルネームに強烈な説得力を感じ、私戦々恐々ですと。

これはもう♂、あるいは漢として生まれ持った命題として、二時間持たせる話の種を、
探して咲かせて見せましょう。

なんて事を考えてふと気がついた、
「自分、喫茶店なら割とうるさいじゃないか!」
嗚呼当方、カフェに入ったのは16の秋という凶状持ち。
喫茶店について語らせれば二時間どころか半日は持たせられる自信がございます。
カフェに入ってカフェのあれこれを語る客か、イヤな客だ。

このあまりにもな思いの丈を破瓜すべく、常日頃思うコーヒーと喫茶店について、
この場を借りて書き連ねたいと思います。
早速行ってみましょう。



と、その前にまずは感謝の言葉を。

いつも愉快な仲間が集まる『カフェライタ』のマスター。
毎度お騒がせしております、あの場での歓談はわが精神の栄養です。

そしてコーヒーの道をひた走る『エナカフェ』の店主、カタヤマ氏。
この文章を執筆しているのは紛れも無く彼の薦めあってのこと、
ぶっちゃけ上記の私的理由は張子の虎であってですね。
さらっと聞き流してもらえればうれしいかと。

あわよくば、出版に乗り出せるようがんばります。
三ヶ月も待たせてすいません、知恵もたくさん借ります事でしょう。

そして、出会っては別れてきた幾多のカフェ仲間たちにも、
L'chayim!(ヘブライ語で乾杯の意味)



さて、かの太田蜀山人がはじめて口にしたコーヒー、
感想が『焦げ臭くて味わうにあたわず』であった明治のころから比べこの日本、
ずいぶんコーヒー文化が根付いたものでありますね。

家で、オフィスで、はたまた旅行先で、
山に登ったらコールマンのガストーチで、
爺様の葬儀場でも(半徹の後、あれはたすかったなぁ不謹慎だが)
いたるところ、TPOを選ばす口に出来る珈琲。

まずは私が思うコーヒーのあり方について語ることにします。

皆さんはどんなとき、コーヒーを恋しく思いますか?
たとえば出勤途中、コーヒースタンドに立ち寄るのが贅沢でしょうか、
奥様、家事に疲れたら一服どうですか、
私の好きな小説の、主人公の探偵は熱いコーヒーを飲みながらタバコを点けないと駄目な人です。
私の好きな小説の、主人公の死神はうらぶれた店でドラッグも女もないがしろにしてコーヒーでした。
様々、コーヒーがおいしい瞬間があると思います。

私の場合、ダントツは読書しながらのコーヒーです。
お気に入りのカップになみなみと褐色の液体を注いでですね、書籍屋特有の、
あのどうかしているスピードでページをめくりながら熱いところを啜る。
気が付いたら無くなっているわけですよ、コーヒーもページもね。

空を見上げ一息ついて「嗚呼ヲタク日本に生まれてよかったわい」と。

ジジくさいな。

*

日本コーヒーの始まりは先も出ました明治初期。
西洋の食べ物が気軽に、一般市民の口に入り始めたころであったといいます。
まだ牛乳が珍しく、パンが食事ではなく洋菓子の一種だったそうな。

維新の末に、知的な若者の社交場として定着させようと開かれた喫茶店もまだ受け入れられなかった時代、
軌道に乗らなかった経営も、後期になると続々カフェが乱立して行くわけですが、
ここで出ました、粋に、伊達にコーヒーを嗜む男たち。
遥か外洋に思いをはせる漁師達です。

彼らが沖に出る前に、熱いソレを飲む様を誰もが格好良いと思ったのでしょう。
自分達がまだ見ぬ世界に挑んでゆく彼らにロマンを感じ、コーヒー豆の消費量は莫大に上ったのです。

当時の物書きについては割愛しよう、手垢の付いた話ばかりだし、
何より私の胃が痛くなる。

コーヒーの世界史については後日また、ゆっくりとご紹介します。


ここで断言いたしましょう、コーヒーこそ、この世でもっともメンタルな飲み物であると。
その時々で甘かったり苦かったり、ショっペーだったりすると。
もともと宗教儀式的意味合いを持つ一品、コーヒー。
日本には薬用として渡ってきた一品、コーヒー。
皆様、ぜひ当文章をごらんの際は、傍らにコーヒーをご用意いただきたい。

八方手を尽くして精一杯、そのコーヒーを引き立たせて見せましょう。
心象的珈琲研究シリーズ、ここに開宴といたします。

back

SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO