------たった一つの真実見抜く、
見た目は子供、頭脳は大人、
その名も------
:名探偵コナン、アニメのopより
指が月を指すとき、愚者は指を見る:4
「ゑ!?それじゃセイバー、非実体化できないの?」
「はい、いまだ英霊の座につくことを契約しただけの身であるので……」
帰路の途中、雨ガッパに剥き出しの剣を担いでいるセイバーを一瞥し、それを変だ、と表したことから始まる問答である。
もっとも、手荷物代わりに切断された腕を抱えたアーチャ-のほうが、大分物騒ではあるのだが。
「こまったわね、実体化したままだとかなり魔力食っちゃうわ」
「その事ですが、通常時の護衛はアーチャ-に任せ、自分は睡眠を取っていることで魔力の浪費を押さえてきたいのですが」
堅実な提案であるが、聞き様によっては単なる怠け者宣言である。
「提案するが、マスターが学校を休んで昼間は両方とも休むのはどうだ?
人目につきやすいからな、日が高い内は他のマスターも仕掛けては来るまい」
「だめよ、アンタには家事やってもらわないと」
「…………」
怠け者宣言である、こちらはどう取っても。
茶坊主は必要無いのではなかったか?それとも念願のセイバーが就いたなら自分はもはや用済みなのだろうか?
一計を案じる必要がある、自分は有力な人材なのだと知らしめる必要があるのだ。
ひそかにため息をついたアーチャ-を余所に、二人の少女の会話は続いて行く。
ともあれ、今宵は家に帰ってゆっくり休み、敵の捜索は明日からにしよう、という形で話がまとまった。
すでに三人は深谷町に入り、凛の生家まで後少しというところだ。
「きょうはこのまま、何事も無く過ぎればいいわね、ねむいし」
「マスター、気を抜いては行けない。
いかにあの言峰が戦争の中断などとのたまったからと言って、敵を見かけたらこちらから仕掛ける意気込みで望むべきです」
「セイバー、気合入っているわね。
私達出会ってから高々数時間よ?連携も何も無いじゃない。
オマケになんで聖杯が必要かもおしえてくれないのに」
横目でちらりと騎士王をみて、唇を尖らせた凛。
彼女の真名はわかろうとも、戦う意味を知らなければ信用の仕様も無い。
忠義だけでは背中をまかせるに足らず、遠坂凛は魔術師なのだ。
「まあ、たしかに。
互いの言うことに一理ある、ならばコインを飛ばすのも同じではないかね?
これからの道、誰にも会わなければ君も暖かい寝床に潜れよう、凛」
「そうね、さすがに体も冷えてきたし、急ぎましょう」
連携など考える必要も無い、傍目から見れば、すでに仲のよい三人組にみえよう。
もとより、アーチャ-は二人の事はよく知っているのだから、きっと今すぐに敵が現れようと上手く立ちまわれる。
二人の命を、自分が守る。
それは、かつて見た赤い騎士のかなわぬ遠い夢。
だが、幸福の始まりは、すでに番狂わせから始まっていたのだ。
「------そうは、イカの金である」
背後からそう声をかけられたとき、一瞬自分達を呼び止めるものとは思えなかった。
凛が、セイバーが、アーチャ-が背後を向いた瞬間、得体の知れない魔力と殺気。
得体の知れない威圧感に尻がムズムズした。
「このまま十字路に差し掛かれば、きわめて破壊的な戦場に出くわすだろう。
ほら、耳を済ませば聞こえてこないか?大地を割り空を裂く戦いの喧騒が」
彼らは見た、その不吉過ぎる金髪。
白のタートルネックの上から額ランを羽織り、顔にはメガネ。
右目は赤で左目は青、二つの宝石を収めるその容姿は美形なんだか凡庸なんだか。
素敵なりオッドアイ、しかしそれ以上に付け加えるべき感想は、
(ものすごい魔力だがどうにも恐るるに足らない緊張感、
魔術師か、サーヴァントか、それとも単なる一般人か?
と言うかむしろなんだこれは、なんなんだコレは!)
「ちょっとアンタ、夜に背中から声をかけるなんてぶしつけだ思わないの?」
「おっと、これは失礼れでぃー。
そう言えば自己紹介もまだだったね」
三人は注目した、はたして自分達を足止めする意味のある存在なのか。
「私は正義の味方、衛宮士郎を手引きしたものだ。
此度の戦争、止めようと紛争する彼を手伝うこともやぶさかではない」
ああ、やっぱり敵なんだ。
三人は脱力した、まあいまだどこか侮れない雰囲気を持つ男であるが、それでも心身で理解した。
勝てる、こんな変態は敵ではない、と。
いや、敵ではあるのだが。
ややこしいな、こいつ。
「あぁ、話を要約すれば、いま私達が向かう先で士郎とサーヴァントの何某が交戦しているのですね?」
セイバーが話をまとめた、ならば次、彼女が行う行動も想像がつくだろう。
「いいわ、行ったげてセイバー。
ただしほどほどにね、敵サーヴァントの素性と出方を見るくらいでいいから」
「なにをいうのかマスター、初陣に見事、相手の首をささげてご覧に入れましょう」
ひらひらと手を振るアーチャ-、どうやら当人援護する気も失せたようである。
だがしかし。
「トォウ!」
という掛け声を発し、無駄に空中で三回転身をよじるとセイバーの前に降り立つなぞの男。
「呼び止めたって事はちょっと待てって事だよ?
まだ行かせるわけには行かないの、わかる?おばかさん」
セイバーは見下された、死後も前回の聖杯戦争においてひとかどの存在として認識された騎士王が。
彼女にとってそれは、未体験の屈辱であった。
「貴様、今すぐそこを退かなくば斬って捨てるぞ!」
「あー?ぼくちゃんきこえなーい。
相手にお願いするならちゃんと名前で呼んでおくれよぅ」
------キれた。
神速で愛剣を抜く、風王結界と呼ばれる常駐型の宝具をまとわせたそれは不可視の刃を持つ聖剣。
その名を高く轟かすゆえに、相手に素性を知られぬ鞘の意味もかねているそれであるが、彼女の踏み込み、
そして何よりも無双の剣技と合わされば、それは必殺の斬撃となる。
まして今、彼女の左手にはかつて失われた選定の剣がある。
たとえ片方防がれようと、もう一方の刃が敵の首をはねよう。
まさに完全無欠、打ち負ける理由などどこにも無かった。
まさに完全無欠、打ち負ける理由などどこにも無かった。
まさに完全無欠、打ち負ける理由などどこにも無かった。
まさに完全無欠、打ち負ける理由などどこにも無かった。
まさに完全無欠、打ち負ける理由などどこにも無かった。
まさに完全無欠、打ち負ける理由などどこにも無かった。
まさに完全無欠、打ち負ける理由などどこにも無かった。
まさに完全無欠、打ち負ける理由などどこにも無かった。
まさに完全無欠、打ち負ける理由などどこにも無かった。
まさに完全無欠、打ち負ける理由などどこにも無かった。
まさに完全無欠、打ち負ける理由などどこにも無かった。
まさに完全無欠、打ち負ける理由などどこにも無かったのに。
「……一物!」
謎の男は、虚空からにゅるりと剣を生み出した。
凛はその原理を検討できなかったし、アーチャ-は自分以外剣製が出来る者が居る、という可能性など微塵も考慮していなかった。
そしてセイバーは、中ほどから叩き切られた自分の剣を呆然と眺めるしかなかった。
そして、男は弾けた暴風を真正面から受けて、こう告げた。
「あらためて、名乗ろう。
私は魔人、インタラプトSが筆頭。
衛宮士郎は先生と呼ぶがね、君らは一つ------『セイバー』と呼びたまえ」
その頭上に、高く跳ね上げられた黄金の切っ先が刺さった。
「あ、ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「き、きえぇぇぇぇぇぇぇぇぇっつ!」
もう一方の手に残されたカリバーンを手に、半狂乱で向かってくるセイバーを自らの剣でいなしながら、
頭に刺さった異物を引っこ抜く太郎。
そう、もはや説明の必要はあるまいその男、太郎。
衛宮士郎にいくつもの戦をけしかけ、先日間桐慎二へ死に至る決断を選ばせた、いわばクソ野郎である。
だが、彼の素性と、セイバーの剣を切り裂いた彼の能力に関しては、説明の必要があるだろう。
「キサマ、その剣は何だ?
どうして彼女の剣を叩き切ったッ!」
アーチャ-が激昂した、まるで自分が最強と信じた者を、すげなく裏切った相手に向ける罵声だった。
カリバーンを弾き落とし、肩で息をするセイバーの背中をぽんぽんとたたいてから、向き直る太郎。
「お答えしよう、これがわが超能力、一物王である」
手にした剣をアーチャ-の方へ放り投げ、厳かに告げた。
それを手に取り、魔力を通して解析を試みる。
------否、試みた。
魔力の通りもその解析も一瞬、と言うより解析する必要も無かったかも知れぬ。
余りにも、その剣の構造は単純であったのだから。
構成材質、解明。
「たった一個の、ca分子だと!?」
「そう、私は分子一つ一つを知覚し、意のままに手繰り寄せ操ることが出来る。
原始記憶を読み、たたいて伸ばせば単分子刀の出来あがりだ、理論上形あるものはどんなものでも斬れる。
斬ったら痛い、ゆえに死ぬ、すなわちどんな剣よりも直死っぺぇ剣よ?それ」
------いわば、その剣は絶対の一。
全人の希望を鍛えて作られた剣も、ちっぽけな一つの現実に打ち勝つことなど出来ない、という風刺である。
まして、そのような剣を生み出せる程の超能力など、使えるものは異例中の異例。
今までに一度の発見例も無い、奴は単細胞を超えた単分子馬鹿なのだ
「最も、そのカルシウムだってあらゆる世界から選りすぐったものだ。
正直彼女の聖剣を受け止められるか不安だったしね、セント・荒耶宗蓮の恥骨を拝借した」
それは、たった一人で60億人類すべて相対すると語った偉大なる坊主の名前であったが、
残念なことにそれが誰なのか知る者は、居なかった。
「加えて、その剣の真名を告げなかったから良かったんだ。
聖剣を開放していたら、いかに叩き斬っても幻想が瓦解してここら一帯大惨事ですよ?
だからセイバー、とりあえず、泣くな」
それが最後の歯止めを砕いたのか、その場に崩れ落ちたセイバーは声帯を焼ききらんばかりに嘆き、吼え、
泣き叫んだ。
それを見たアーチャ-、奥歯をぐっとかみ締めて、
「------投影開始《トレース・オン》」
己の愛剣、干将・莫耶を投影した。
「凛、敵を甘く見たツケを払わねばならぬらしい。
どうにか相打ちに持ち込めればいいが、もしものときはセイバーと上手く立ちまわってくれ」
「え?うん、そう」
どうやらその場に取り残されてしまったらしい凛を背に、二剣一組のそれを構える。
それに応えるかのように、太郎も、
「------一物!」
空いている左手に脇差を叩延した。
しかし、太郎は手を横に広げ、さながら道化のように首をかしげた。
「いやいや、どうせ足止めしたかっただけだし、それにもうその必要も無いようだ。
佳境だよ、衛宮士郎とバーサーカーの戦闘が。
良かったら行ってみるといい、君も知りたいだろう?
士郎が、どのような進化を遂げたのか」
道を開ける、するとその瞬間、まるで太郎の背がその空気をさえぎっていたかのように、
どっと殺気が押し寄せた。
まるで数十メートル先で大3次世界大戦でも興しているような、そんな不吉な風。
肌で感じるどころの騒ぎではない、世界が直に、この先は危険だと警告しているようでもある。
だがしかし、言われるままその脇を失礼して、戦の場を覗き見ようなどと思うアーチャ-ではない。
目の前に敵が居る、それも真っ先に障害となり得そうな強敵が。
見逃す必要が、果たしてどこにあろうか------。
『いざない』over
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